宇宙大作戦 D.R.#012 タロス星の幻怪人 1
スター・トレック 宇宙大作戦 デジタル・リマスター版.第12話「タロス星の幻怪人 1」.これを見て,書いといた方がよいかなぁと思ったので.
オレは日本の本放送ではなく,おそらく再放送で「宇宙大作戦」にハマったクチ.頃は中学生.原題の「スタートレック(STAR TREK)」なんてものは全然知らず,「宇宙大作戦」で育った.ほぼリアルタイムで「スタートレック」を見ながら育った世代.
「宇宙大作戦」と次にオレがレンタルビデオ屋で借りてきて見た「スタートレック’88」(後の「新スタートレック」あるいは「スタートレック・ネクストジェネレーション」の第一話)の間には,明らかな映像技術の進歩による格差があり,驚いたものでした.その驚きを遥かに越えた作品を今更デジタル・リマスターにして放映しても,若い人たちには相変わらず陳腐に映るのかと思うと,ちょっと解説しなきゃいかんと思った次第です.
敢えて「宇宙大作戦」と呼ばせてもらいますが,この「宇宙大作戦」は,タロス星の幻怪人の話で始まったとも言えます.エピソードガイドなどを見れば わかるように,これはパイロットフィルムとして作られた作品("The Cage" 「ザ・ケイジ」)を取り込んで,本作で全く別な話としてよみがえらせています.カーク船長が就任する前にエンタープライズの指揮官だったクリストファー・ パイク船長の話という構成.
コンピュータの声には抑揚がなく,機械が話すとこんな風になるだろう,感情を持たずに抑揚のない話し方になるだろう,というのが「話すコンピュー タ」のイメージでした.制作当時は話をするコンピュータなんてものはなかったので,これがせいぜいの想像の範囲で,コンピュータが「話す」ということが画 期的だったのです.日本の小説でもコンピュータのセリフが出てくると全てカタカナ表記になっていたものです.「コンピュータ」という呼び方すら新鮮で,国 内では未だ「電子計算機」と呼ばれているのが一般的でした.
コンピュータが稼動するたびにカタカタと音がなります.当時はリレーを使ったコンピュータも多く,稼動させるとカタカタと音がしたのです.メモリー はディスクではなく磁気テープでしたから,しゅるしゅるしゅるとテープの回転する音,リレーなどの電気装置のカチカチという機械的な音,それらが典型的な コンピュータの作動音だった訳です.
紙テープがシュルシュルと出力されないだけ,まだましというものです.ウルトラマンの科学特捜隊やウルトラセブンのウルトラ警備隊では,出力された 紙テープから情報を読み取っていました.パリティも入れて6ビットか7ビットくらいの穴の並びくらいなら,あの当時は読める人もいたと聞いています.ウル トラ関連の組織の人たちが穴あき紙テープをすらすらと読んでいたのは,コンピュータ専門家にとってはあながち嘘ではなかったようです.
スポックがカーク船長の声を命令として伝える際,カードのようなものを差し込んでニセの命令として伝えるシーンがあります.あのカードは何に見えました か?制作された当時,カード型のアクセス媒体でコンピュータにデータを差し込むなどという発想はありません.なぜなら,コンピュータの入力は紙テープや磁 気テープが一般的だったからです.かろうじて 8inch のフロッピーディスクがあったかもしれません.それがあのような簡単なカードでデータ入力をできるというのは当時としては画期的な発想だったのです.あの カードで何を思い浮かべるかで世代の差が出てくるかもしれませんね.5インチフロッピー,MO,MD,USBメモリ...いまならさしずめ USB メモリといったところでしょうか.
話の中で「ナンバーワン」と呼ばれる女性が出てきますが,これは今となっては誤訳だったのではないかと思っています.新スタートレック(Star Trek: The Next Generation)をご存知の方ならよく知っていると思いますが,右腕となる一番の人間,すなわち副長を「ナンバーワン」と呼びます.パイク船長の 元,スポックが副長という位置づけで訳されていますが,これは厳密には副長ではなくて,科学主任というところだったのではないでしょうか.
この当時,番組の邦題は訳者や監督がつけるのではなく,アフレコ時に適当に題名をつけることが多かったようです.そのため,原題とは異なり,ネタば れに近いような邦題がつけられることも稀ではなかったという状況があります.今回の "The Menagerie" は直訳すれば「動物ショー」とか「見世物の野獣たち」といったものになりますが,邦題としてはインパクトが薄かったために内容を表す「タロス星の幻怪人」 となってしまったのでしょう.
音が鳴る葉を見て,スポックがにこやかに歯を見せるという珍しいシーンが現れますが,これもパイロットフィルムだからこそ.バルカン人としての性質 がまだ確立していなかったためにこのような演技になったものです.また,検査もせずに直接葉にさわるという愚行を犯しているのも,まだトリコーダーが作ら れる前だったということが影響しています.
さて,今回はこの辺で.後編が終わったら,また何か書くかも知れません.
【追記】
後編の感想は→こちら: 宇宙大作戦 「タロス星の幻怪人 2」.
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» スタートレック宇宙大作戦 12話「タロス星の幻(まぼろし)怪人 1 」 [海外ドラマ☆SFワールド]
タロス星での出来事は「ザ・ケイジ」で描かれたものと同じ、というかそれを上手く使ったエピソードでTOS唯一の前・後編となっている。
時代に逆行してLDを入手したのは、数年前までスタートレックを観る術がDVDでしかなくLD版はDVDの価格の1/3くらいだったこと。それとパイロット版の「ザ・ケイジ」を実は観たいと思ったのも理由のひとつだった。
スタートレックのサイトkyusyuの掲示板には“次の映画にも関係してくるところかも”というので注目エピソードです。... [続きを読む]
受信: 2007/10/15 19:32





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コメント
懐かしくなったので,私も昔の思い出をブログに書いてしまいました。
事後承諾ですいませんがリンクを張らせていただきました。
コンピュータの穿孔テープと言えば,昔駄菓子屋で,ランダムに穴の空いた,やけにじょうぶな紙テープを売っていた記憶があります。ちょうどフジ隊員が手にとって読んでいたようなアレです。なんか妙な色に着色されていたような気もするのですが,あれはなんだったんだろう?ひょっとしてコンピュータ関係の会社で廃棄されたものが流れてきていたのかしらん?
いや,私はもちろん科学特捜隊ゴッコに使っていたのですがね(笑)。
投稿 ちょび | 2007/10/14 11:06
ちょびさん,コメント&TB ありがとうございます.
リンクはご自由にどうぞ.リンクに関しては世の中に公開されている Web はすべてリンクフリーにすべきだという意見を持っています.
駄菓子屋でそんなものが売られていたとは.どこかの会社からの放出品だったのかなぁ.もしそうなら,今時だと情報漏えいとか言われちゃうかも(笑
いい時代でしたね.
深夜じゃなくて,ゴールデンタイムに再放送してくれませんかねぇ.
投稿 いかちょー | 2007/10/14 12:39
スポックが音が鳴る葉を見てニッコリするシーンは貴重ですね。後でバルカン人のこのシーンは珍しいと知り、見返した印象深いシーンです。
コンピュータといえば、後のTNG、シーズン2「埋もれた文明」でウィルスネタを扱っています。
まるで今の時代を予言していたようですね。
投稿 モリー | 2007/10/15 20:45
モリーさん,
スポックが笑うシーンは,花の毒にやられて感情が開放される会がありますよね.あれくらいしかあとは思いつきません.貴重な映像ですね.
TNG の放映開始が 1987 年で,ウィルスやワームは 1980 年代に既に登場していたので,予言というわけではなく,コンピュータの歴史上の必然として扱われていたのではないかと思います.
24 世紀になってもウィルスは消えないって事ですね.
投稿 いかちょー | 2007/10/16 02:39