「コラプシウム」二度目,読了しました.いや,もう面白かった.二回目でも新たな発見があったりしました.
「コラプシウム」感想その1.を書いてから,丸一ヶ月.いろいろと障害物があって,なかなか読み進めませんでしたが,ちびちびと十分に堪能させていただきました.困ったことに中途半端な物理の知識しかないので,出てくる用語がホンモノなのか,SFガジェットなのかが区別がつきません.こりゃもう,割り切って,「魔法」とおもって読むしかない!と決めた辺りから進み始めました.というようなことは「その1」でも書きましたね.
この小説は,未来から過去を振り返った話という体裁をとっています.そのため,ところどころに起こった現象の解説などがポンとはいってくるのですが,これがなんとも面白い部分に挿入されるので,読者を幻惑します.難しい議論がところどころにありますが,細かいところは付属書の方に回されたりしていますので,「魔法」と決めちゃったら,あまり気にせずに読んじゃうことです.
第一部で世界観の説明があります.ここで,主人公ド・トワジが堅物,偏屈というイメージで登場するのですが,事件を颯爽と(?)解決するところが素晴らしい.あまりにも素晴らしいので,なんかスカッと交わされた感じがします.難しい用語がいっぱいあって,なんだこりゃ,と煙にまかれながら,やっと第一部を読み終えたらこんなもんかい.という感じ.実は,この第一部は世界観を読者と共有するためのプロローグなんですね.第一部を読み終わると頭の中には,なんとなく世界観が出来上がっています.
そして第二部,第三部と進んでいくのですが,ここがまたワクワクさせてくれる.出てくる生物の形態が「オーマスターキャリバン」に出てくるような感じでした.どんでん返しに次ぐどんでん返し,適度なご都合主義.スペースオペラと見せかけて,女王タムラを救うために完全と立ち上がる騎士兼魔法使いド・トワジのファンタジーの話ですよこれは.最後まで気が抜けませんが,うれしい期待通りというのか...この歴史モノは続編あるんでしょうねぇと念を押したくなるような面白さでした.
さて,ロボット.オレはもう,「ロボット」が出てくるとメロメロです.それがどんなものであっても人間形のロボットがいるだけで,うれしくなります.そいでもって,その一体が...というわけですから,楽しくないわけがない.いやもう,なんか人工知能つきサメロボットが水の中で全く動けない状態から,泳ぎを覚えて,すいすいと泳ぎ始めるというシミュレーションの光景がダブりました.読んでない人にはなんのことかわからないでしょうけれど.
それから,一つ疑問に思っていたのはコラプシウムが立方体の格子だというところ.力の安定は最終的には三角面からなる正四面体のあつまりなんでは?とか思っていましたが,たぶん,位相の関係で 8 頂点にならざるを得ないんでしょうね.位相がなくなると三角形の泡になってバランスするのだろうかと...物理のことなどとんとわからずになんとなくそう解釈してなっとくしてます.いいんです,間違ってても.ハードSF考証をしようというのでもないかぎり,私のエンターテイメントの部分は,それで十分なんです.
ただ一つだけ納得できないものが.「非慣性」って...モノを簡単に動かせるのはいいとして,動いているものも簡単に止められる?このあたりがこんがらがってわけがわかんなくなってしまいました.一度動かしたものは動き続けない?ああ,わからん.レンズマン呼んでこい!って感じでした.
そんな疑問も吹っ飛ばして,この小説は面白い.物理がわかる人はもっと面白いんだろうなぁと,ちょっと悔しいけれど,物理なんか知らなくても読めます.ファンタジーです.面白いです.是非,一度,とにかく第二部まで読んでみてください.第一部で世界観をつかんで,第二部で面白さを楽しみ,第三部以降で,世界を味わってください.
いや,ほんと,はまります.
ウィル マッカーシイ Wil McCarthy 嶋田 洋一
早川書房 (2006/03)
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