情報セキュリティに関する標準と標準化団体
情報セキュリティに関する規格
情報セキュリティに関して様々な規格が存在します.「JIS規格」などでは,この解説でもすでに登場していますし,情報セキュリティ分野に限らず「JISマーク」などで身近な工業製品でも見ることがあります.「JIS規格」は日本工業標準調査会というところで定めている日本の規格です.日本以外でも各国の標準を決める団体があり,国際的な規格を決める団体があります.
標準と標準化団体
「標準」とはなんでしょうか.情報セキュリティに限らず,様々な分野で「標準」が存在します.例えば,ネジひとつをとっても,標準に合わせて作られています.標準の規格が決まっていれば,特殊なネジを作る必要はなく,ネジの提供者も標準の規格に合わせて作ってさえいれば,それを使ってくれる人がいることになります.つまり,「標準」とは,なんらかのモノを使うためのモノサシであり,モノを提供するための基準となります.「標準」は「スタンダード」と表現されることもあります.
「標準」(スタンダード)と言うからには,みんなが使わなければなりません.みんなが使うためには,誰か一人が「これが標準です」と叫んでも(普通は)使ってくれません.いろいろな案を検討し,それがお互いに使えるものであることを納得して決めていく必要があります.そのような「標準」を決める組織を「標準化団体」と呼んでいます.
一人で決めても「標準」として使ってくれないと書きましたが,実は一人(あるいは一組織)が決めたものが「標準」になる場合があります.これをデファクト(de facto)・スタンダードと呼びます.例えば,ビデオテープのVHSはデファクト・スタンダードになります.
デファクト・スタンダードに対して,国際標準化団体などが定めた標準をデジュール(de jure)・スタンダードと呼びます.デファクト・スタンダードが国際標準化団体が採用して,デジュール・スタンダードになるようなケースもあります.
日本には日本工業標準調査会(以下JISC: Japanese Industrial Standards Committee)が工業製品などの標準を定めています.JISCは経済産業省の中の審議会組織で,独立した団体ではありません.
それでは,主な団体について説明をしていきます.
(オアシス)(略称
OASIS: Organization for
the Advancement of Structured Information
Standards)
http://www.oasis-open.org/
http://www.oasis-open.org/jp/
アプリケーション寄りの国際標準を定める国際的な非営利団体.
SAML(Security
Assertion Markup Language)やXACML(eXtensible
Access Control Markup Language)などを定めている.
国際標準化機構(略称
ISO: International Organization
for
Standardization)
http://www.iso.org/
各国の標準化団体が参画し,国際的な標準を決める団体.電気技術分野および電子技術分野を除く産業分野の国際標準規格を策定します.ISOで定めた規格はISO
7498などのように表記されます.
国際電気標準会議(略称
IEC: International
Electrotechnical
Commition)
http://www.iec.ch/
各国の標準化団体が参画し,国際的な標準を決める団体.電気技術分野および電子技術分野の国際標準規格を策定します.IECで定めた規格はIEC
60839 などのように表記されます.
ISOとIECは合同の委員会を設置し,共通の規格も定めています.情報セキュリティに関する規格のほとんどはISOとIECの合同委員会によって策定され,ISO/IEC
27001のように表記されます.ISO/IEC合同委員会で検討した規格は,各国の標準化団体メンバーの投票によって採択の可否を問い,75%以上の賛成によって国際標準として公開されます.
英国規格協会(略称
BSI: British Standards
Institusion)
http://www.bsi-global.com/
英国の標準化団体.BSIで定められた規格は
BS7799などのように表記されます.
(米国)トレッドウェイ委員会組織委員会
(略称
COSO:Committee of
Sponsoring Organizations of Treadway
Commission)
http://www.coso.org/
財務報告の質を向上させるためにアメリカ公認会計士協会(AICPA)は、アメリカ会計学会、財務担当経営者協会、内部監査人協会、全国会計人協会によって組織された委任意団体.内部統制や企業統治の面から,Enterprise
Risk Management Framework(COSO ERM)が注目を浴びています.
経済協力開発機構(OECD:
Organization for Economic Cooperation and
Development)
http://www.oecd.org/
OECD(経済協力開発機構)はヨーロッパ諸国を中心に30ヶ国が加盟する国際機関.国際マクロ経済動向、貿易、開発援助といった分野に加え、ガバナンスといった分野についても加盟国間の分析・検討を行っています。「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oecd/privacy.html)や「OECD情報システム及びネットワークのセキュリティのためのガイドライン
–
セキュリティ文化の普及に向けて」(http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/oecd2002.htm)などが有名です.
英国中央コンピュータ・電気通信局(略称
CCTA: the Central Computer
and Telecommunications
Agency)
http://www.ccta.gov.uk/
英国の政府組織ですが,内部統制(ガバナンス)に必要な「リスクアセスメント」の手法などを公表しているため,情報セキュリティ分野でも覚えておく必要がある機関です.リスクアセスメントのためのCRAMMやITILなどを公開しています.(CRAMMやITILについては後述します)
インターネット・ソサエティ(略称
ISOC: Internet
Society)
http://www.isoc.org/
http://www.iaj.or.jp/isoc-jp/indexj.html
「ISOC(インターネット・ソサエティ)は、1992年に設立されたもので、米国バージニア州(ワシントンの近く)に本部を置く、インターネット関係では最大の非営利団体である。この組織は一種の国際的な学会であるが、業界団体のような性格も持っている。」(ISOC-JPのホームページより)
インターネットで使用される技術やプロトコル(手順)の標準を定め,RFC(Request
for Comment)として公表しています.
情報システムコントロール協会(略称 ISACA:
Information Systems Audit and Control
Association)
http://www.isaca.org/
http://www.isaca.gr.jp/homepage_j.htm
T.B.D.
日本工業標準調査会(略称
JISC: Japanese Industrial
Sstandards
Committee)
http://www.jisc.go.jp/
経済産業省の審議会.日本の工業製品の標準規格を定めています.規格はJIS規格と呼ばれています.JIS規格はAからZのカテゴリに分けられ,情報処理に関する規格はXカテゴリになります.情報セキュリティに関する規格もXカテゴリになります.技術的な標準としてTR(Technical
Report)があり,情報セキュリティはTR
Xとなります.
品質に関する基準はQカテゴリになりますが,情報セキュリティの品質や評価の基準はQカテゴリにも含まれています.
日本情報処理開発協会(略称
JIPDEC: Japan Information
Processing Development
Corporation)
http://www.jipdec.jp/
経済産業省を中心とする情報化政策に関連して,ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)適合性評価制度やプライバシーマーク制度の運用などの事業を行っています.リスクアセスメントの手法であるJRAMやJRMSを公開しています.
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